志望理由書

慶應法学部FIT入試 志望理由|A・B方式の書き方と例文

学部別

慶應法学部FIT入試の志望理由|A・B方式の書き方と例文【法律・政治学科別】

「慶應法学部のFIT入試、志望理由書に何を書けばいい?」「A方式の事前課題、どう書けば受かる?」——慶應義塾大学法学部のFIT入試(Faculty of Law and Politics Individual admission Test)は、筆記試験の学力ではなく「法律・政治への知的関心と論拠を立てる力」を評価する選抜方式です。

FIT入試で合否を分けるのは**「自分の意見を論拠と共に展開できるか」**です。「法律に興味があります」「政治に関心があります」という動機の表明だけでは、書類審査すら通りません。審査官が見ているのは「この受験生は、法律・政治の問題に対して自分なりの立場と根拠を持っているか」です。

この記事では、FIT入試A・B方式の違いから、法律学科・政治学科別の志望理由書の書き分け、事前課題の構成法、NG例まで解説します。


この記事の結論

  • FIT入試の合否は「論拠を伴う意見表明ができるか」で分かれる
  • A方式は事前課題(論述)+小論文が関門、B方式は面接での実績深掘りが関門
  • 法律学科は「六法の体系×リーガルマインド」、政治学科は「政策設計×比較・国際」で軸が異なる
  • 「弁護士になりたい」「政治家になりたい」で終わる志望理由は全方式で落ちる
  • 事前課題は「問題提起→自分の立場→論拠×2〜3→留保・反論への応答→結論」の構成が基本

目次


慶應法学部のAPと「本当に求められる学生像」

アドミッションポリシーの読み方

慶應法学部のアドミッションポリシーは「民主主義社会の担い手としての素養」と「論理的・批判的思考力」を明示しています(慶應義塾大学法学部公式サイトより)。

表面的な文言を読むと「法律・政治への関心を持つ人」と解釈しがちですが、FIT入試の評価実態からは以下の暗黙の評価軸が見えてきます(あくまで入試構造からの推測・仮説として)。

  1. 論拠を立てて「自分の意見」を言える受験生 ——事前課題・小論文・面接すべてで「意見を聞かれる」構成。「難しい問題です」「さまざまな意見があります」では評価されない。

  2. 社会問題を法律・政治の枠組みで考察できる受験生 ——「感情的な関心」ではなく「制度・法律・政策の問題として語れるか」が差分になる。

  3. 大学での研究・学習計画が具体的な受験生 ——「法曹になりたい」だけでなく「慶應法学部のどの科目・演習でどう学ぶか」まで書けること。

法律学科 vs 政治学科の根本的な違い

慶應法学部は法律学科政治学科の2学科構成です。受ける学科を間違えると、志望理由書の軸がずれます。

法律学科政治学科
学びの中心六法(憲法・民法・刑法等)の体系的学習政治学・国際関係・行政学・政治理論
思考のスタイル条文・判例の論理的解釈比較・歴史・理論による分析
卒業後の典型例弁護士・裁判官・検察官・企業法務・行政官官僚・外交官・地方公務員・コンサルタント・国際機関
志望理由のキモどの法律分野×どんなリーガルマインドを磨くかどの政治的問題×どんな政策設計に関わりたいか

「法律が好き」→法律学科、「政治に関心がある」→政治学科という安易な振り分けではなく、自分が入学後に解明したい問いがどちらの学科のAPと接続するかで選んでください。


FIT入試A方式・B方式の違いと対策の軸

A方式の全体像

選考ステップ内容
書類審査志願書(志望動機・高校活動・学習計画)
一次通過後事前課題(指定テーマの論述。A4×2枚程度)
二次選考面接(事前課題の内容を踏まえた口頭試問)
同日小論文(当日課題)

A方式の合否を分けるポイント:事前課題の「論拠の質」です。テーマ(例:「AIと法規制」「民主主義の限界」等)に対して「問題提起→自分の立場→複数の論拠→反論への応答→結論」の構成で書けるかが審査の核心です。評定平均の要件はありません。

B方式の全体像

選考ステップ内容
書類審査志願書(高校での活動記録・志望動機・自己アピール)
二次選考面接(志願書を踏まえた深掘り質問)
出願要件評定平均3.5以上

B方式の合否を分けるポイント:面接での「実績の深掘りへの応答力」です。志願書に書いた活動(模擬裁判・生徒会・ボランティア・研究発表等)に対して「なぜその活動をしたか」「何を学んだか」「法学部への動機とどう繋がるか」を瞬時に語れるかが問われます。

A方式 vs B方式の選び方

あなたのタイプ推奨方式
論述・議論が得意、評定にこだわらないA方式
評定3.5以上あり、活動実績が豊富B方式
両方の要件を満たす両方出願も可能(学科ごとに選択)

法律学科・政治学科別|3タイプの志望理由と例文

FIT入試の志望理由書は「自分のタイプ」によって書き分けが必要です。3つの典型タイプと、それぞれに対応した論点・例文を示します。


タイプA(法曹実務型):六法×リーガルマインドで社会問題を解決したい

こんな受験生に刺さる:弁護士・裁判官・企業法務を志向し、具体的な法的問題(消費者被害・知財・労働問題等)に高校時代から関心を持っている受験生。

なぜこれが固有論点か:慶應法学部は「法学実務教育」に強みを持ち、司法試験合格者数でも上位実績があります。また、法律学科の必修演習(リーガルクリニック的科目)は、条文解釈の技術を体系的に積み上げる構成です。「法律を学びたい」では不十分で「どの法領域の問題を、どんなアプローチで研究したいか」まで示すことが差分になります。

例文を見る(Before → After)

Before例(よくある凡庸な書き方・約100字)

私は幼い頃から法律に関心があり、将来は弁護士になって困っている人を助けたいと思っています。慶應法学部で法律を体系的に学び、夢を実現したいです。

なぜダメか:「法律が好き」「弁護士になりたい」だけで、①なぜ慶應法学部か②どの法分野か③何をどう学ぶかが完全に欠落。審査官に「他の法学部でもいい」と判断される。


After例(固有名詞を加えた改善版・約250字)

高校2年のとき、祖父が訪問販売の被害に遭い「クーリングオフを知らなかった」と言った場面が忘れられません。消費者保護法制の欠陥ではなく、法の存在を知らない市民と法律の間にある距離が問題だと気づきました。

この問いを深めるため、慶應法学部法律学科の「消費者法演習」「民法総合演習」で条文の解釈技術を積み上げ、3年次からリーガルクリニック的な実務演習に参加したいと考えています。将来は消費者被害の予防的法務を専門とする弁護士として、「知らないから被害に遭う」状況を制度設計から変えていくことを目指しています。

Before→Afterの差分:「法律が好き」→「具体的な被害経験→法的問題の発見→慶應での研究計画→将来像」の論理連鎖に。


タイプB(政策立案型):政治学×公共政策で社会制度を設計したい

こんな受験生に刺さる:国家公務員・外交官・地方自治体政策担当・国際機関を志向し、選挙・行政・国際関係について高校時代から自分なりに考えてきた受験生。

なぜこれが固有論点か:慶應法学部政治学科は「比較政治学」「国際関係論」「行政学」を縦横に組み合わせたカリキュラムが特徴です。また塾内の他学部(SFC・経済)との合同プロジェクト・演習も豊富で、政策立案を「学際的に考える環境」があります。「政治に関心があります」ではなく「どの政策問題を、どんな分析手法で研究したいか」を示すことが評価されます。

例文を見る(Before → After)

Before例(よくある凡庸な書き方・約100字)

私は政治に強い関心があり、将来は官僚になって日本の制度を良くしたいと考えています。慶應法学部政治学科でグローバルな視点を身につけたいです。

なぜダメか:「政治が好き」「官僚になりたい」「グローバルな視点」はすべて抽象語。何の政策問題を、どの学問的アプローチで研究したいかが一切ない。


After例(固有名詞を加えた改善版・約260字)

少子化対策として政府が講じてきた保育所整備・育児休業拡充の効果が、なぜ出生率の回復に繋がらないのか——この問いを持ったのは、行政学の文献を読み始めた高2の夏です。政策の「設計」と「実施」の間にある行政組織の構造的問題が原因ではないかと仮説を立てています。

慶應法学部政治学科では「行政学」「公共政策論」「比較政治学」の三軸で、この問いを実証的に掘り下げたいと考えています。特に赤川学教授の少子化研究や人口政策の議論を起点に、自分の仮説を批判的に検証する演習参加を目指しています。卒業後は国家公務員として、行政評価の実務に携わることを具体的なキャリア目標としています。

Before→Afterの差分:「政治が好き」→「具体的な政策問題→仮説→慶應での研究計画(固有科目・教員名)→卒業後キャリア」の論理連鎖に。


タイプC(学術・論理探究型):法律×政治の学問的問いを深く研究したい

こんな受験生に刺さる:「憲法と民主主義の関係」「法の支配と権威主義」「国際法の強制力」などの学術的問いに高校時代から関心を持ち、大学院進学・研究者・シンクタンクを視野に入れている受験生。

なぜこれが固有論点か:慶應法学部には法哲学・比較法・国際法の研究層が厚く、法律学科と政治学科の境界をまたいだ学際的研究が可能です。「弁護士・官僚になる」という実務志向ではなく「法律学と政治学の学問的接合部を探究する」という軸で書くことで、他の受験生との差別化が図れます。

例文を見る(Before → After)

Before例(よくある凡庸な書き方・約100字)

私は憲法や民主主義に興味があり、法律と政治の両方を学べる慶應法学部に魅力を感じました。幅広い視野を持った人材になりたいです。

なぜダメか:「憲法・民主主義に興味がある」「幅広い視野」は抽象語の羅列。「法律学科と政治学科の両方を学べる」という記述は、学科選択を迷っている印象を与える。


After例(固有名詞を加えた改善版・約260字)

「法の支配は、なぜ権威主義体制で機能しなくなるのか」——この問いは、ハンガリーの司法独立性の低下を報じたニュースを読んだことが出発点です。法律の条文は存在するのに、それを運用する政治的意志が失われると法秩序が崩れる——この現象を「法哲学」と「比較政治学」の接合点から研究したいと考えています。

慶應法学部法律学科では「法哲学」「比較法」「公法総合演習」を通じてこの問いの法律学的側面を掘り下げ、政治学科の「比較政治学」「権威主義体制論」との横断的な学習を視野に入れています。将来は法学系大学院に進学し、民主主義後退(democratic backsliding)の法的メカニズムを研究テーマとして確立することを目指しています。

Before→Afterの差分:「憲法・民主主義に興味」→「具体的な比較政治事例→法哲学×比較政治の学際的問い→慶應での研究計画→大学院進学の目標」。


FIT入試でよくある失敗パターン3選と改善方法

失敗パターン1:「職業名止まり」型

悪い例

将来は弁護士になりたいと思っており、そのために慶應法学部で法律を学びたいと考えています。

なぜダメか:「弁護士になりたい」は目標であって、「なぜ慶應法学部か」への回答になっていない。また「どの法律分野で・どんな社会問題に取り組むか」がゼロ。

改善例

消費者被害の予防法務を専門とする弁護士を目指しています。高校時代に祖父の訪問販売被害を経験し、「法を知らないことによる被害」の構造を研究したいと考えるようになりました。慶應法学部の消費者法演習・民法総合演習でこの問いを深め、3年次からは実務的な演習に参加することを計画しています。


失敗パターン2:「慶應である理由がない」型

悪い例

慶應義塾大学は伝統と実績があり、OBネットワークも強力です。慶應法学部で学ぶことで、将来のキャリアに役立てたいと思います。

なぜダメか:「伝統・実績・OBネットワーク」はブランド志向の典型。FIT入試の審査官が最も懸念するのが「慶應ブランド目当て」受験生で、このパターンは一発で見抜かれます。

改善例

慶應法学部を選んだ理由は、「法律学科の必修演習体制」と「○○教授の行政法研究」が自分の問い(地方自治体の政策立案プロセスの法的整合性)に直接対応しているからです。他の法学部では、この学際的アプローチが難しいと判断し、慶應法学部政治学科を第一志望としました。


失敗パターン3:事前課題で「問題紹介」に終わる型(A方式限定)

悪い例(事前課題の論述イメージ)

AIと著作権に関しては、さまざまな立場の意見があります。創作者の権利保護を重視する意見がある一方で、AI技術の発展を優先すべきという意見もあります。このような対立をどう解決するかは、今後の法整備に委ねられていると考えます。

なぜダメか:「さまざまな意見がある」→「法整備に委ねられている」は「自分の立場がない」ことの表明。FIT・A方式で最も評価されないパターン。

改善例(自分の立場を明示する)

AIによる著作物学習については、私は「権利者の事後的補償制度の整備」を優先すべきと考えます。その根拠は二点あります。第一に、AIの学習段階での事前許諾要件を厳格化すると技術開発が停滞し、社会全体の便益が損なわれます。第二に、EU著作権指令20条が示す報酬請求権モデルは、創作者の経済的利益保護と技術発展の両立を図る先行事例として参照できます。ただし、この立場には「補償の対象と算定方法が難しい」という反論があり、この点の制度設計が今後の立法論の核心になると考えます。


A方式「事前課題」の書き方と構成

FIT入試A方式の事前課題は、毎年テーマが変わります(例:「情報社会と個人の権利」「民主主義の現在地」等)。テーマは出願後に通知されます。慶應法学部公式サイトで過去テーマを必ず確認してください。

事前課題の基本構成(A4×2枚)

第1段落(問題提起):テーマの何が問題かを限定・明示する
 例:「AI規制」というテーマなら「具体的に何のAI規制か(生成AI?自律兵器?)」を絞る

第2段落(自分の立場):「私は○○と考える」と明確に宣言する
 ここで曖昧にすると以降の論述が崩れる

第3〜4段落(論拠×2〜3):立場を支持する根拠を具体的に提示する
 法律・判例・統計・比較事例(他国の法制度等)を使えると説得力が増す

第5段落(反論への応答):「この立場への反論」を想定し、それに応答する
 「なるほど○○という反論は妥当だが、△△という理由で私の立場は維持できる」

第6段落(結論):冒頭の問題提起と呼応させて締める
 「したがって、○○という観点から△△という制度設計が求められる」

事前課題でよく出るテーマ類型

FIT入試の事前課題は「法律・政治・社会」の交差点にあるテーマが多いとされています(傾向分析・仮説として)。

テーマ類型論述で使える法的・政治的フレーム
AI・テクノロジーと法著作権法・プライバシー権・EU AI法規制との比較
民主主義・選挙制度一票の格差判例・比例代表制の設計論
国際法・安全保障国連憲章・集団的自衛権・国際人道法
環境・気候変動気候訴訟・国際環境法・世代間衡平性
格差・社会保障生存権(憲法25条)・社会保障法・再分配政策

事前課題のテーマが発表されたら、24〜48時間以内に「自分の立場(結論)」を決めることが重要です。テーマを調べることに時間を費やしすぎると、論述の完成度が下がります。


志望理由書セルフチェックリスト10項目

提出前に以下の10項目を確認してください。

#チェック項目OK / 要修正
1法律学科か政治学科か、どちらに出願するかが明確に示されているか
2「なぜ慶應法学部でなければならないか」の固有理由(科目名・教員名・プログラム名)が1つ以上あるか
3「職業名」で終わっていないか(弁護士・官僚で止まらず、「どの問いを・どう解決するか」まであるか)
4高校時代の具体的経験(活動・読書・出来事)から学習動機が導出されているか
5「グローバルな視点」「幅広く学ぶ」「社会に貢献したい」などの抽象語が3回以上使われていないか
6「慶應ブランド・就職実績・OBネットワーク」への言及がないか
7将来像が「職業名+具体的な取り組み・研究テーマ」まで記述されているか
8A方式:事前課題のテーマと志望理由書の方向性が矛盾していないか
9B方式:志願書に書いた活動について「なぜやったか」「何を学んだか」「法学部志望との接続」を即答できるか
10慶應法学部公式サイトのAPを読み、自分の志望理由書がそれに応答しているか

採点目安

  • 10項目すべてOK → 提出可
  • 7〜9項目OK → 2〜3項目を重点修正
  • 6項目以下OK → 志望動機の根本から再構成を推奨

まとめ

慶應法学部FIT入試の志望理由書で最も重要なのは、「法律・政治の問題に対して、自分の論拠のある意見を持っているか」 です。

A方式では事前課題の論拠の質、B方式では面接での実績深掘りへの応答力が合否を分けます。どちらの方式も「慶應ブランド志向」「職業名止まり」「抽象論」は審査官に見抜かれます。

まず自分のタイプを確認してください

  • タイプA(法曹実務型)→ 六法の具体的な法領域と問いを明示
  • タイプB(政策立案型)→ 政策問題の仮説と慶應での研究計画を明示
  • タイプC(学術探究型)→ 法律×政治の学際的問いと大学院ビジョンを明示

志望理由書の土台となる「3原則(結論ファースト・経験接続・抽象を具体に)」は志望理由書の書き方 完全ガイドで確認してください。また慶應全体の入試方式と学部比較は慶應義塾大学 志望理由ガイドもあわせてご覧ください。


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本記事の情報は2026年5月時点のものです。FIT入試の選考内容・事前課題のテーマは年度により変更されます。必ず慶應義塾大学法学部公式サイトの最新募集要項をご確認ください。

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