基礎知識

総合型選抜に実績なしでも受けられる?活動実績の考え方

目次を開く(7項目)
  1. 01「実績」とは何か:大学が本当に見ていること
  2. 02実績がなくても合格する受験生の共通点
  3. 03「経験の言語化」:どんな経験でも使える方法
  4. 04今から「経験」を作る方法(出願まで時間がある場合)
  5. 05「実績で勝負」vs「問いで勝負」
  6. 06よくある質問
  7. 07まとめ:実績より「問いを語る力」を磨く

総合型選抜に実績なしでも受けられる?活動実績の考え方

「部活で全国大会に出ていない」「ボランティアをしたことがない」「資格もない」——こういった受験生から「自分には総合型選抜は無理ですか?」という相談を受けることがあります。

先に結論を言います。「目立った実績がない = 総合型選抜を受けるべきでない」は完全に誤りです。

大学が求めているのは「全国大会優勝」「国際ボランティア経験」のような輝かしい実績ではありません。「なぜこの大学でこれを研究したいのか」という志望の根拠と、それを裏付ける自分なりの経験です。「自分なりの経験」は、どんな高校生にも必ず存在します。

この記事では、活動実績の正しい捉え方・何が本当に評価されるか・実績が薄い場合の準備方法を解説します。

この記事のポイント

  • 大学が求めているのは「実績の大きさ」ではなく「経験から問いを立てる力」
  • 「全国大会」「海外留学」がなくても合格している受験生は多数いる
  • 評価されるのは活動の「種類・規模」より「そこから何を考えたか」
  • 実績が薄い場合でも、今から「経験の言語化」と「探究」で差は埋まる
  • 出願書類では「経験→問い→学びたいこと」の3段論法が機能する

目次

「実績」とは何か:大学が本当に見ていること

よくある誤解:「実績 = 賞・資格・全国大会」

多くの受験生が「総合型選抜には輝かしい実績が必要」と思い込んでいます。確かに、そういった実績があれば説得力は増します。しかし、それが必須条件ではありません。

大学の選考基準を確認すると、ほとんどの場合「卓越した実績」という表現ではなく、以下のような言葉が使われています:

  • 「主体的に学ぶ姿勢」
  • 「問題意識と探究心」
  • 「大学での学びへの強い動機」
  • 「自己の成長に対する内省力」

実際に評価されること

評価される要素具体例
問いを立てる力身近な出来事から社会課題や学問的問いを見つけた経験
継続して取り組んだ姿勢3年間同じテーマで考え続けた・同じ活動を続けた
失敗から学んだ経験うまくいかなかったことを振り返り、次の行動を変えた
他者との関わりの経験部活・委員会・アルバイト・家族の中での経験と気づき
自分の変化の言語化「この経験で自分の何が変わったか」を説明できる

重要: 「何をしたか」より「そこから何を考えたか」が評価の本質です。


実績がなくても合格する受験生の共通点

指導してきた合格者の中には「特段の実績がない」受験生も多くいます。彼らに共通していたこと:

共通点①:「なぜ」を深く考えていた

日常の出来事・授業の内容・読んだ本——どんな小さなことからでも「なぜそうなっているのか」という問いを持ち続けていました。

例:「数学の授業で確率の問題を解いたとき、これが保険料の計算に使われていると知り、なぜ保険という仕組みが社会に必要なのかを考えるようになった」→ 経済学・金融論への関心に発展

共通点②:自分の経験を「言語化」していた

「部活をした」「授業を受けた」という事実は誰にでもあります。「その中で何を考え、何を感じ、何が変わったか」を言葉にできるかどうかが差を生みます。

共通点③:志望する学問と自分の経験を繋げていた

出願書類の中で「経験 → 持った問い → 大学で研究したいこと」という3段論法が成立していました。


「経験の言語化」:どんな経験でも使える方法

持っている経験が「小さい・地味・普通」でも、以下のフレームワークで「使える材料」に変換できます。

STARフレームワーク

Situation(状況):どんな状況・場面だったか
Task(課題):そこでの課題・困難は何だったか
Action(行動):自分はどう考え・何をしたか
Result(結果・気づき):何が変わったか・何を学んだか

実例:地味な経験→使える材料

元の経験: 「高1から高3まで図書委員をやっていた」

言語化前: 「3年間図書委員をやっていました」(これだけでは使えない)

言語化後(STARフレーム適用):

S:高校の図書室は利用者が少なく、司書の先生が「読書離れを何とかしたい」と感じていた T:利用者を増やすために何かできることはないか考えた A:生徒に「今週のおすすめ本」をPOPで紹介する企画を立ち上げ、3ヶ月続けた。最初は全く反応がなかったが、紹介する本のジャンルをスポーツ・音楽など「高校生が好きな話題」に変えたことで徐々に借り出し数が増えた R:「人に本を届けるためには、相手の関心から逆算する必要がある」と気づいた。この経験からマーケティング(誰に・何を・どう届けるか)という学問への関心が生まれた

→ 「マーケティングを学びたい」という志望動機の具体的な根拠として機能します


今から「経験」を作る方法(出願まで時間がある場合)

高3の4〜7月に時間がある場合、以下の活動が志望理由書の材料になります。

①オープンキャンパスへの参加

大学の授業体験・教員との会話は「この大学でこれを学びたい」という志望動機の具体的な根拠になります。「公式サイトに書いてあること」より「実際に行って感じたこと」の方が面接で強い説得力を持ちます。

②関連する書籍を1〜3冊読む

志望学部に関連する書籍(入門書レベルでOK)を読み、「この本のどの部分に引っかかりを感じたか・なぜか」を100字で書き留めておく。これが志望理由書の「学問的関心の根拠」になります。

③小さなフィールドワーク

  • 地域の課題に関心があれば、市区町村の統計データを調べて考察する
  • 社会問題に関心があれば、関連するNPO・自治体のHPを調べてレポートをまとめる
  • 興味ある企業・業界に関心があれば、IR資料や業界レポートを読む

これらは「実績」ではなく「主体的な探究行動」として書類に記載できます。

④現在の活動を深掘りする

すでにやっている活動(部活・バイト・委員会)を「なぜこの活動をしているか・何が面白いか・どんな問いが生まれたか」という観点で掘り下げる。「3年間バスケット部で球拾いをしていました」でも、STARフレームで展開すれば立派な材料になります。


「実績で勝負」vs「問いで勝負」

同じ大学・学部を志望する2人の受験生を比較します。

受験生A:実績重視

  • 英検1級取得
  • 高校生模擬国連全国大会出場
  • 海外ボランティア経験
  • 志望理由書:「これらの経験から国際系に興味を持ちました。グローバルに活躍したいです。」

受験生B:問い重視

  • 特段の実績なし
  • 高校の社会の授業で「なぜ先進国でも貧困がなくならないか」に関心を持つ
  • その後、1冊の経済学の本を読み、「貧困は個人の努力の問題ではなく構造的な問題だ」という仮説を持つに至った
  • 志望理由書:「○○大学経済学部の○○教授の開発経済学研究で、貧困の構造的要因を計量的に分析したい」

面接官が「この人と一緒に研究したい」と感じるのはBです。実績の大きさが選考に影響するのは事実ですが、実績を羅列するより問いを語る方が評価されます。


よくある質問

Q1. 「これといった活動をしていない」高3夏に気づいた場合は?

あきらめる必要はありませんが、残り時間で「実績」を作ることより「今ある経験の言語化」と「探究テーマの深掘り」に集中してください。オープンキャンパスへの参加・関連書籍の読書・フィールドワーク(データ調査)は残り数ヶ月でも実行可能です。

Q2. 部活を途中でやめた経験はマイナスになる?

直接的なマイナスにはなりませんが、「なぜやめたか」は面接で聞かれる可能性があります。「やめた理由」と「その後何をしたか・何を考えたか」を正直に言語化しておくことが大切です。隠すより、やめた経験から得た気づきを語る方が評価されます。

Q3. アルバイト経験は書いていい?

書けます。「アルバイトをしていた」という事実より「アルバイトの中で何を考え・何を学んだか」という観点で書けば、立派な材料になります。ただし「お金を稼ぐため」という動機だけでは評価されません。

Q4. 高校外の活動(習い事・地域活動)は評価される?

はい。高校の授業・部活・委員会に限らず、あらゆる経験が材料になります。「高校の外でどんな世界を見てきたか」という観点で、ユニークな視点を持つ受験生として差別化できます。

Q5. 志望理由書の「活動実績」欄が空欄になってしまう場合は?

空欄を避けるために「小さな経験でも言語化する」ことが重要です。空欄より「こんな経験があります」という文章の方が、読んだ面接官に人物像が伝わります。STARフレームを使って、自分では「使えない」と思っていた経験を書き起こしてみてください。


まとめ:実績より「問いを語る力」を磨く

総合型選抜で問われているのは「これまで何をしてきたか」という過去の記録ではなく、「この大学でこれを研究したい」という未来への意志とその根拠です。

その根拠を支えるのは「全国大会優勝」である必要はありません。「小さな経験から生まれた本質的な問い」で十分です。

今日から始められること:

  1. 「自分にとって一番印象に残っている経験」を一つ選ぶ
  2. STARフレームで書き出す(30分で十分)
  3. 「その経験から、自分はどんな問いを持つようになったか」を1文で書く

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本記事の情報は2026年5月時点のものです。

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